過去2回に亘って確認してきた寄附金も今回で最後になります。最後の第3回は寄附金の区分と損金不算入額について確認していきましょう。
寄附金の区分
寄附金はその支出相手等に応じて以下の6つの種類に区分されます。
- その他の寄附金(一般の寄附金)
→ 6.以外の寄附金、損金算入限度額に達する金額までが損金の額に算入されます。 - 特定公益増進法人等に対する寄附金
→業務目的の公益性が高いとして特例的に一定額までが損金の額に算入されます。
これは特別の法律により定められた法人のうち公益の増進に著しく寄与するものとして法令で定められた法人(認定NPO法人など)の主たる目的である業務に関連する寄附金等が該当します。 - 国、地方公共団体等に対する寄附金
→租税と同様の意味で帰属する・・・・…全額損金算入- 国等に帰属することが採納証明等により明らかであるものをいう。
- 国等に対する採納手続の有無に関わらず最終的にその寄附金が国等に帰属しないと認められるものは該当しない。
- 100%政府又は地方公共団体出資の特殊法人に対する寄付金は、国等に対する寄付金に該当しない(一般寄附金として取扱う)。
- 外国又は外国の地方公共団体に対する寄付金は、国等に対する寄付金に該当しない(一般寄付金として取扱う)。
- 指定寄附金
→特に公益性・緊急性が高い・・・・…全額損金算入寄附金を募集しようとする法人等からの申請に基づき、財務大臣が指定し包括告示される。 - 完全支配関係のある他の内国法人に対する寄付金
→グループ全体としてみた場合に寄付による課税所得を発生させないため・・・・…全額損金不算入- 内国法人が各事業年度において法人による完全支配関係がある他の内国法人から受けた受贈益の額で、法37⑦の寄付金の額に対応するものは、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入しない。これにより、100%グループ内で行われた寄付については、支出側で損金不算入、受贈側で益金不算入となる。
- この場合、出資元法人において寄付修正が必要となる(連結完全支配関係がある場合を除く)。
- 国外関連者に対する寄附金 →移転価格税制とバランスを図るため・・・・…全額損金不算入
- 法人が、各事業年度において、支出した寄附金の額のうち、その法人に係る国外関連者に対するもの(法人税の課税対象とされる外国法人に該当する国外関連者に対する寄附金の額で、その国外関連者の各事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入されるものを除く)をいう。
- 国外関連者とは、外国法人でその法人との間に次に掲げる関係のあるものをいう。
- 二の法人のいずれか一方の法人が他方の法人の発行済株式等の100分の50以上の株式の数又は出資の金額を直接又は間接に保有する関係
- 二の法人が同一の者によってそれぞれ発行済株式等の100分の50以上の株式数又は出資の金額を直接又は間接に保有される場合におけるその二の法人の関係(a.を除く)
- 二の法人のいずれか一方の法人が他方の法人の事業方針を実質的に決定できる関係(a.及びb.を除く)
損金算入限度額の計算
それではいよいよ、損金算入限度額について確認をしていきましょう。損金算入限度額はその寄附金の種類によって次の通り異なります。
寄附金の種類 |
損金算入限度額 |
|
1 |
一般の寄附金 |
(資本金額基準額+所得基準額)×1/4 |
2 |
特定公益増進法人等に対する寄附金 |
AとBのうち少ない金額 A:特定公益増進法人等に対する寄附金の特別損金算入限度額(期末の資本金等の額×事業年度の月数/12×3.75/1,000+当期の所得の金額×6.25/100)×1/2 B:特定公益増進法人及び認定特定非営利活動法人に対する寄附金の額 |
3 |
国・地方公共団体等に対する寄附金 |
全額損金算入 |
4 |
財務大臣の指定した寄附金 |
|
5
|
完全支配関係のある他の内国法人に対する寄付金 |
全額損金不算入 |
6 |
国外関連者に対する寄付金 |
全額損金不算入 |
(注) 所得の金額とは、申告書別表4の仮計の金額に支出した寄附金の額を加算した金額をいいます。
(注) 当期の月数は、暦に従い、1月未満の端数は切り捨てます。
(注) 外国法人の場合の「資本金等の額」は、外国法人の資本金等の額にその外国法人の総資産の価額のうちにその外国法人の国内にある総資産(国内において事業を行う外国法人については、その外国法人の国外にある資産で国内において行う事業に係るものを含む)の価額の占める割合を乗じて計算した金額とし、「所得金額」は国内源泉所得に係る所得の金額とする。
終わりに
3回に亘って寄附金制度の概要をみていきました。
一口に寄附金といっても多くの論点があり、また、非常に判断が難しく税務調査でも指摘されることが多い項目になりますので、判断に迷われた際は顧問税理士と相談して進めていきましょう。
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