お客様からのご質問で非常に多くのお問合せを頂くのが寄附金です。
寄附金は判断が難しく取り扱いに迷うことが多い項目です。
そのため、今回は寄附金課税の概要について全3回に亘って見ていきたいと思います。
寄附金は、法人の事業活動とは直接関係なく、任意に、しかも直接の反対給付を伴わないで支出されるため、事業上の経費としく、利益の処分としての性格が認められるとされています。しかし、寄附金が損金性に乏しいものでも、寄附金の性格上その寄附行為が法人の事業を円滑に推進するための効用をもっている事も無視できず、事業との関連性の判定は難しいとされています。
そこで、法人税法では、一定の形式的基準によって、内国法人が支出する寄附金の額のうち、一定の方法により計算した限度額までの金額を損金の額に算入し、限度額を超える金額については、課税所得の計算上、損金の額に算入しないこととしています。
寄附金の意義・範囲
まずは寄附金とはどのようなものを指すのか解説していきたいと思います。
寄附とは、いわゆる法律用語でいう贈与であり、この贈与は無償で一定の財産を相手方に与える意思を表示し、相手方がこれを受諾することによって成立するものです。
法人税法上、寄附金の範囲は以下のように定められており、一般的にいう寄附金よりも範囲が広いです。
- 寄附金、拠出金、見舞金その他いずれの名義をもってするかを問わず、内国法人が金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与をしたもの。
- ①の費用であっても、それらが広告宣伝費、見本品費、交際費、福利厚生費として認められるものは寄附金とならない。
- 資産の譲渡又は有償による経済的利益の供与をした場合において、その対価として収受した金額がその時価に比して低い場合のその時価との差額のうち、実質的に贈与等をしたと認められるものは寄附金となる。
- 一定の特定公益信託の信託財産とするために支出した金銭の額は、寄附金とみなされる
上記の通り、寄附金はどのような名目をもって支払うかは問いません。また、直接的な現金や資産の贈与のみならず“経済的利益”の無償の供与についても寄附金に含まれることになります。
経済的利益の無償の供与
次に経済的利益の無償の供与とはなにかについて確認していきましょう。
経済的利益の無償の供与とは、例えば、無利子での利息の貸付けや、無償による商品の倉庫での保管等、本来、収益が生ずる役務の提供を無償で行った場合を指します。この場合において本来受け取るべきであった価額に相当する金額が経済的利益の無償の供与としての寄附金に該当します。
主な経済的利益の例としては以下の通りです。
- 無償(低額)による金銭以外の資産の譲渡・役務の提供
- 金銭以外の資産の高額譲受け・役務提供の高額譲受け
- 債権放棄又は債務免除
- 無償による債務引受け
- 経費等の代替負担
終わりに
寄附金シリーズの第一回は全体図と寄附金の意義等についてみていきました。次回は寄附金の支出と隣接費用の区分について見ていきたいと思います。
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